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猫を飼うと統合失調症のリスクが2倍になるって本当?

目次

統合失調症って何?

統合失調症は、精神疾患の一つであり、常に現実からの意識が乖離し、妄想や幻覚、混乱した思考、感情の変化などの症状が現れる疾患です。この病気は、社会的機能の低下や日常生活への影響をもたらすことがあります。統合失調症は、遺伝的、神経化学的、環境的な要因が組み合わさって発症すると考えられており、治療には薬物療法や認知行動療法などが行われます。

なぜ猫を飼うと統合失調症になるリスクが上がるのか?

「統合失調症の発症者には、猫を飼っている家庭で育ったという共通点がある」という猫好きには信じがたい研究論文が学術誌「統合失調症研究」に2015年1月に掲載された。
1982年に行われたアメリカ精神疾患患者家族会(NAMI)のアンケートを調べた。アンケートは同家族会に所属する2125世帯を対象にしたもので、これまで解析されないままになっていた。その結果、統合失調症を発症した人のうち50.6%が子供のころに猫を飼っていたことが明らかになった。

猫と統合失調症リスクの関連性

オーストラリアの研究者たちが過去44年間に11カ国で発表された17の研究を分析した結果、猫の飼育と統合失調症関連障害のリスクの増加に関連があることが示唆されました。研究者たちは、「猫の飼育と統合失調症関連障害の発症リスクの増加には関連がある」と述べています。
Cat Ownership and Schizophrenia-Related Disorders and Psychotic-Like Experiences: A Systematic Review and Meta-Analysis | Schizophrenia Bulletin | Oxford Academic
https://academic.oup.com/schizophreniabulletin/advance-article-abstract/doi/10.1093/schbul/sbad168/7458104

トキソプラズマ・ゴンディの役割

この関連性の背景には、トキソプラズマ・ゴンディ(T. gondii)という寄生虫があります。この寄生虫は、主に生肉や汚染された水を介して、または感染した猫の咬傷や糞便を介して人間に感染することがあります。T. gondiiは、中枢神経系に侵入し、神経伝達物質に影響を与えることができ、個性の変化、精神症状の出現、および統合失調症を含むいくつかの神経障害と関連があります。
トキソプラズマは猫にかまれたり糞便に接触したりして人間に感染する可能性があり、トキソプラズマ症という病気を引き起こすものの、ほとんどの人は無症状や軽い風邪程度で済みます。アメリカでは約4000万人がトキソプラズマに感染していると推定され、精神疾患を引き起こす可能性が示唆されていますが、明確な因果関係は不明。

研究の結果とその解釈

17の研究の新しい分析では、「猫の飼育と統合失調症関連障害のリスクの増加との間に有意な正の関連が見られた」と報告されています。ただし、この研究は因果関係を証明するものではなく、また、結果に影響を与える可能性のある他の要因を考慮していない場合があります。
逆に言えば研究の対象が17しかないのも事実で、はっきりとした理由となりうるのかは今後も研究の動向を見守る必要があります。

研究の限界と今後の必要性

研究者たちは、猫の飼育が精神障害のリスクを変える要因としての可能性をよりよく理解するために、より高品質で大規模な代表的なサンプルに基づく研究が必要であると結論付けています。

この記事からは、猫の飼育が統合失調症のリスクを高める可能性があるという仮説が提起されていますが、これはまだ確定的な結論ではなく、さらなる研究が必要であることが強調されています。

それでも猫を飼うのには何に気をつけたら良いか?

猫とトキソプラズマの関係

猫はトキソプラズマ・ゴンディの生活サイクルにおいて重要な役割を果たします。猫が感染すると、寄生虫は猫の腸内で繁殖し、糞便を通じて外界に排出されます。このため、猫の飼育者は、特に猫の糞を処理する際に寄生虫に曝露されるリスクがあります。

トキソプラズマ感染のリスク

多くの場合、トキソプラズマ感染は無症状であり、健康な成人にとっては通常は問題になりません。しかし、免疫系が弱っている人や妊婦にとっては、より深刻な健康問題を引き起こす可能性があります。妊婦が初めて感染すると、胎児に影響を与え、先天性トキソプラズマ症を引き起こすリスクがあります。
ネコが自由に行き来している庭がある場合は手袋やマスクをして予防をすることが大事であると言えます。

猫に限らず、ペットを買うということは、衛生管理を怠ってはいけないという事

 予防策としては以下のようなことに十分気をつけましょう。

  • 猫の糞は毎日処理し、その際には手袋を着用する。
  • 猫砂を適正に管理し清潔を保ってあげる。
  • 猫の糞を処理した後は必ず手を洗う。
  • 猫に生肉を与えない。(外から獲物を獲ってこさせない)
  • 妊婦は特に猫の糞の処理を避ける。

猫にとっても人間にとっても、お互いのためにいつも清潔を心がけてください。
トキソプラズマ感染は一般的には軽微なものですが、猫を飼う際には適切な衛生管理を行うことが重要です。

外と自由に行き来できる場合には、獲物を取らせないようにしましょう!

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